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中田 弘太郎*; 長崎 晋也*; 田中 知*; 坂本 義昭; 田中 忠夫; 小川 弘道
Radiochimica Acta, 90(9-11), p.665 - 669, 2002/12
被引用回数:52 パーセンタイル:93.85(Chemistry, Inorganic & Nuclear)鉄酸化物はその表面で放射性核種を吸着することにより、地層中での放射性核種の移行を遅延させることが知られている。このような吸着反応において酸化還元反応に敏感な一部の元素に対して、単なる吸着だけでなく、鉄鉱物中のFe(II)による還元反応を伴う吸着反応の可能性が指摘されてきた。そこで、本研究ではFe(II)を含むマグネタイトとFe(III)のみのヘマタイトへのNp(V)の吸着反応について、大気条件下及び低酸素条件下で調べた。その結果、マグネタイトに対しては低酸素条件下でのNp(V)の吸着量が大気条件下よりも増加するとともに、その吸着形態は大気条件下で見られたイオン交換的な吸着よりも強い結合であることが示された。しかし、ヘマタイトではこのような現象が認めらないこと、低酸素条件下でマグネタイトに吸着したNpがNp(IV)を抽出するTTAで抽出された結果から、低酸素条件下ではマグネタイトへのNp(V)の吸着がNp(IV)への還元を伴う吸着現象である可能性を示唆した。
田中 知*
JAERI-Tech 2002-016, 110 Pages, 2002/03
固相表面の構造や電子分布などミクロ構造の不均質性に着目し、実験や量子化学計算などを組み合わせることで、酸化還元に敏感なNpが鉄酸化物表面で還元される、C-S-Hゲルへの核種の吸着には複数の相互作用が関係している、固相表面の構造や電子分布の不均質性が相互作用ポテンシャルを減少させ、吸着を促進するなどの知見を得た。これらにより、水分子レベルで見た固相表面のミクロ構造の不均質背一が固相と核種・微粒子の相互作用を促進すると結論付けることができた。既存の連続媒体を前提とした吸着理論では実際の協着現象は記述できず、原子・分子レベルでの相互作用を取り込む必要があると指摘した。
中田 弘太郎*; 長崎 晋也*; 田中 知*; 坂本 義昭; 田中 忠夫; 小川 弘道
JAERI-Conf 2002-004, p.667 - 673, 2002/03
放射性廃棄物処分の安全評価では、地層中の鉱物への長半減期核種の吸着移行挙動の評価が重要である。本研究では、地層中での核種の挙動に重要な役割を果たす鉄鉱物へのネプツニウムの吸着現象を温度依存性の観点から調べた。その結果、ネプツニウムのマグネタイト(磁鉄鉱)への吸着は温度とともに増加することが明らかになった。さらに、吸着試験終了後のマグネタイトを塩化カリウム溶液(イオン交換性)及びシュウ酸カリウム溶液(非晶質鉄酸化物への吸着)による逐次抽出し、その脱離量を比較すると、塩化カリウムで抽出されるネプツニウム量とシュウ酸カリウムで抽出されるネプツニウムの量は比例しており、ネプツニウムがマグネタイト上の複数の吸着サイトへの吸着により吸着していることが推定された。
大久保 成彰; 友部 政勝*; 石川 法人
no journal, ,
原子力分野で使用されるセラミックス機能材料に関して、高エネルギー重イオンを高線量まで照射し、表面の損傷形態を調べた。鉄鋼材料は水等の冷却材環境で長期間使用されると、表面が酸化する。そこで、原子力機構のタンデム加速器により、鉄の表面酸化物の一つであるFeOに、鉄イオンを高線量まで照射し、表面及び微細組織への照射影響を調べた。その結果、照射された表面は、波紋(リップル)とセル構造を呈した。照射イオンがほぼ貫通する試料厚さの場合、照射面と裏面の両面に波紋構造が観察された。また、量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のTIARA施設にて、約1/10のエネルギーにてNiイオンをCeOに照射した場合、表面のみにリップルとセル構造が観察され、これら表面形態は、照射角度や照射線量によって変化した。通常のスパッタリングは、keV程度の照射によって弾性衝突的に引き起こされ、表面形態はマクロには滑らかである。しかし、本研究でのリップル等はSEMレベルで観察され、高エネルギーの電子的エネルギー付与が、激しい表面スパッタリングを引き起こしたことを示す。また、断面TEM観察により、電子的エネルギー付与の高い表面では非晶質化が生じていることが鉄酸化物で初めて明らかになった。